2021年12月10日
ダイレクト出版のメルマガより
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こんにちは、
ダイレクト出版政経部門の金子です。
独裁国家であるという共通点から、政治、軍事面で協力関係にある中国とロシア。
2国の海軍は、今年10月にも共同軍事演習を行ったのですが...
驚くことに、なんと青森県の津軽海峡を通過。
そのまま日本を一周して東シナ海へと抜けて行きました。
一体なぜ、中国とロシアは日本を挑発してきたのか?
そして、我が国はどのように対応すればいいのか?...
元大統領顧問を務めた国際関係アナリスト・北野先生が日本の取るべき戦略を解説します。
それでは、お楽しみください。
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★ ロシアと和解した方がいい大戦略的理由
From:北野幸伯
ダイレクト出版・ルネサンスメルマガ読者の皆さまこんにちは!北野幸伯です。
今回は、久しぶりにロシアの話です。
10月27日、CNN.co.jp
<中ロ合同艦隊が日本を「一周」、これが大きな出来事である理由>から。
<中国とロシアがこのほど合同海軍演習を実施し、軍艦10隻からなる艦隊が日本の本州をほぼ一周した。>
これは、何でしょうか?
「自由で開かれたインド太平洋戦略」の中核は、「クアッド」です。
日本、アメリカ、インド、オーストラリア。
「クアッド」は、合同軍事演習も行っています。
もう一つ、アメリカ、イギリス、オーストラリアの反中同盟「AUKUS」(オーカス)もあります。
オーカスは、「オーストラリアに原子力潜水艦8隻を保有させること」を目指しています。
それによって、中国が強くなりすぎて壊れたアジアの「バランスオブパワー」を回復させようと。
この動きに、中国が対抗する動きを見せています。
中国にも「友達」がいるのですね。
「もっとも頼りになる?」「友達?」は、ロシアです。
世界一の領土を持ち、資源超大国、核超大国である。
ロシアのトップ・プーチンが、習近平と同じ類の独裁者であるところも、意志疎通が円滑で「頼もしい」です。
(「頼もしい」というのは、習近平の視点でです。)
それででてきたのが、先ほどの記事。
<中国とロシアがこのほど合同海軍演習を実施し、軍艦10隻からなる艦隊が日本の本州をほぼ一周した。>
▼予測したとおりの流れ
私が、大昔から主張していることがあります。
それは、「プーチンは、北方領土を返す気がない」。「でも、ロシアとは和解した方がいい」。
なぜか?
中国とロシアを分断するため。
そして、中国とロシアを分断できれば、米中覇権戦争でアメリカ、そして日本の勝利が確定するからです。
逆に、分断ができなくなれば、困ったことになる。
中国軍だけでも恐ろしいのに、ロシアが中国軍側について戦う?
まさに悪夢です。
この件について、私は2017年発売の【中国に勝つ日本の大戦略】の中で、以下のように書いています。
【引用ここから↓】
ここまで読まれて、ほとんどの方は、「尖閣がらみで日中戦争(実戦)が起こる可能性があること」をご理解いただけたことでしょう。
この本、特にこの章は、「日中戦争を回避するため」に書かれています。
しかし、仮に戦争(実戦)が起こるとして、交戦国は、いくつかのパターンが想定されます。
1、日本、アメリカ vs 中国
これは、日本、アメリカの必勝パターン。
日本は、このパターンを維持するため、あらゆる手段を使ってアメリカとの関係を強化していく必要があります。
2、日本 vs 中国
中国が日米分断に成功すれば、こうなります。
つまり、尖閣有事の際、アメリカが日本を助けない。
このパターン、通常兵器同士の戦いだと、どうなるかわかりません。ひょっとしたら勝てるかもしれない。
しかし、中国が「核」で恫喝してきたら、日本に勝ち目はありません。尖閣は、中国のものになる可能性が高い。
3、日本、アメリカ vs 中国、ロシア
こういう戦争が起こったら、どっちが勝つかわかりません。
しかし、アメリカが日本の島を守るために、中国、ロシアと戦うでしょうか?
私は、難しいだろうと思います。
4、日本 vs 中国、ロシア
これは、日本の「必敗パターン」。
勝ち目は1%もありません。
だから日本は、こういうパターンを絶対避けなければならない。
こうみると、日本は、アメリカ、ロシアとの関係を強化し、「1」のパターンを維持しなければならない。
ロシアが日米側について戦うことは、現段階で期待できません。
しかし、少なくとも中立でいてもらう必要がある。
日本、アメリカ vs 中国
ロシア中立
この状態を維持できれば、中国が必ず負ける戦争をしかけてくる可能性も減るでしょう。
私たちがはっきり知っておかなければならないのは、日本が必勝の状態を維持しておけば、戦争が起こる可能性は減るということなのです。
ちなみに戦略家ルトワックは、その著書【自滅する中国】の中で、日本がサバイバルできるかどうかは、ロシアとの関係にかかっていると断言しています。
<もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうか
という点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。>
(自滅する中国188p)
【引用ここまで↑】
これを書いた当時、「中国ロシア合同軍が日本の脅威になる」と主張している人はいませんでした。
しかし今は、<中国とロシアがこのほど合同海軍演習を実施し、軍艦10隻からなる艦隊が日本の本州をほぼ一周した。>
ということになっています。
▼北方領土問題をどう考えるか?
ここ数年で、中国の脅威が認識されはじめ、それにともなって、「ロシアの戦略的意味」も理解されはじめました。
実によいことです。
ですが、北方領土問題については、どう考えるべきなのでしょうか?
私は、同じ「中国に勝つ日本の大戦略」にこう書いています。
<日本では、「ロシア」と聞くと、反射的に「北方領土返せ!」という言葉が頭に浮かびます。
確かに領土問題は大切です。
しかし、「一言目に北方領土返せ!」という言葉が出てくるのは、絶対的に正しいのでしょうか?
たとえば、反日国家韓国は、竹島を不法占拠しています。
日本の政治家は、韓国の政治家にあって一言目に「竹島いつ返してくれますか?」とはいいません。
一方で、同じ政治家が親日大国ロシアの政治家に会うと、最初から「北方領土いつ返してくれますか?」といって、嫌がられます。
そして国民も、「日本の政治家は、ロシアの政治家に会ったら、毎回毎回『島返せ!』というのが当然だ」と思っている。
ロシアとの関係は、戦略的に、韓国よりもずっと大事です。
70年以上不法占拠されている北方4島を返還してもらうことはとても大事ですが、尖閣、沖縄を守ることはさらに大事でしょう。
尖閣、沖縄を守るためには、経済協力を中心に日ロ関係を改善させ、中国が「ロシアの支援はアテにならん」
と思う状態にもっていくことが大事です。
繰り返しますが、日本の「必勝パターン」を維持しておくことが、「戦争回避」につながるのです。>
この話、当時はなかなか理解されませんでした。
しかし、中ロ同盟の脅威が現実になり、もっと理解されやすくなったのかなと思います。
▼4年間の変化
「中国に勝つ日本の大戦略」が出版されて4年が経ちました。
たった4年ですが、世界は大きく変わっています。
まず2018年、ペンス副大統領の「反中演説」から「米中覇権戦争」がはじまりました。
トランプは、ものすごい勢いで中国バッシングをしていった。
2021年、バイデンがアメリカ大統領になりました。
彼は、トランプが苦手だった「同盟戦略」によって、着々と「反中包囲網」を築いています。
「クアッド」が強化され、「オーカス」が創られ、「G7」「NATO」が再強化され。
世界では、日ごと月ごとに反中国家が増えています。
対する中国は、敵を増やす「戦狼外交」、経済発展をぶち壊す「共同富裕」、二つの愚策で、自滅に向かっての歩みを速めています。
中国の友達は少なく、唯一頼りになるのは、プーチンのロシア。
しかし、プーチンは、「究極のリアリスト」なので、「中国が負けそうだ」と判断すれば裏切るでしょう。
イタリアは、第2次大戦中に、ナチスドイツを裏切りました。
今回は、ロシアが中国を裏切り、引導を渡す役になるかもしれません。
いずれにしても、中国の負けは確定です。
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ロシアに1990年にソ連時代ですが、留学して2018年までロシアに住んでいた北野幸伯氏は他の人と
論点が違います。ロシアは絶対に北方4島を返してくれないのはもう分り切っています。
そこで、中国との戦争を回避するため、または勝つためには北方四島問題は一時棚上げにしてでも
ロシアが少なくとも中国と組まないようにするのが日本滅亡を回避するための必須パターンです。
少なくともロシアが中立でいてくれたら日本滅亡は免れます。
しかし、日本の政治家はバカですでに国会議員の多くが中国にマネートラップやハニートラップされていて
完全に中国寄りです。むしろアメリカを裏切って日本・台湾・中国・ロシアとアメリカに挑もうとしている
かのような動きを見せています。
日本は台湾と言う中国へのバックドアで中国に貢献している有様です。
日本の政治家が覚醒してくれないと本当に日本と言う国は無くなってしまいます。
国民も危機感ゼロ。これではもう日本は中国の軍門に下ったようなものです。
それを何とか逆転して中国とは距離を置いてアメリカとの関係を強化すべきです。
その上でロシアには中立でいてもらうのが1番の賢明な選択です。