ハリコフに住み、キエフの状況もビデオでレポートしていたゴンザロ・リラは次のようなことを報告していた。
・ゼレンスキーは侵攻するロシア軍と戦うために、刑務所に収監されている凶悪犯に武器を渡して解放している。このため、彼らによるレイプ、殺人、店舗襲撃などが相次いでいる。ゼレンスキーはとんでもないことをしている。いますぐやめるべきだ。
ゴンザロ・リラはこれを報告した後、ウクライナのネオナチには殺害リストがあるようだと言った。もし自分が報告できなくなったら、拘束か殺害されたと思ってほしいとのメッセージを残し、行方不明になった。ロシアの国営放送の「RT」をはじめいくつかのメディアは、リラは殺害されたと報道している。
・Patrick Lancaster�https://www.youtube.com/c/PatrickLancasterNewsToday
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ランカスターは主にロシア軍が制圧したマリウポリ市内の地域で取材し、戦争に巻き込まれた一般市民に手当たり次第にインタビューして、なにがあったのか報告している。彼の質問は次のようなものだ。
・自己紹介してほしい。名前はなんで、どんな仕事をしているのか?
こうした質問を、戦争で殺された遺体がまだ放置されている現場で、たまたまそばにいた人々に質問している。かなりの数の人々に質問すると、ほぼ次のような答えが返ってくる。
・「アゾフ大隊」は住民を避難させるといって家から出るように命じる。彼らの命令にしたがって避難を始めると、いきなり撃ってくる。これで大勢が死んだ。
・ロシア軍は、市民と戦闘員を見分けるために白い腕章をつけるように言ってきた。これを付けていると安全は保障するという。そこでみな白い腕章を付けて外に出ると、「アゾフ大隊」が狙い撃ちにしてくる。
・「アゾフ大隊」は学校や病院、劇場などに内部から爆薬を仕掛けて破壊している。それをロシア軍の仕業にしたいようだ。
・「アゾフ大隊」は、自分たちの傷病兵の手当をするために病院を占拠した。そのため、病院にいた入院患者や医者、看護師の退去を命じた。これに抵抗したものは容赦なく射殺された。
・ロシア軍は敵ではない。彼らは我々に物資を提供し守ってくれている。敵はゼレンスキーとネオナチの「アゾフ大隊」だ。
このような答えが圧倒的に多い。もちろん誰が攻撃したのか分からないという答えもあるものの、少なくともロシア軍に攻撃されたという証言はほとんどない。証言は「アゾフのやろう!なぜウクライナ人を殺すんだ!ぶっ殺してやる!」という激しい怒りの言葉がとても多い。
日本の報道には、ロシア軍に処刑されたとされる遺体の映像や、ロシア軍によって殺されかけたという証言、そしてロシア軍の無差別な攻撃によってがれきの山と化した街の映像で溢れている。ロシア軍の残虐性を示す情報ばかりだ。
また日本の報道では、「アゾフ大隊」はネオナチとしてではなく、「ウクライナ軍精鋭部隊」として紹介されている。これは独立系のジャーナリストや中立国のメディアとはあまりに異なる報道だ。正反対なのだ。
どちらかがウソをついているのだろうか?いまは勧善懲悪的になって正義感に駆られ、一方を断罪するよりも、本当に何が起こっているのか突き止めなければならないだろう。
このような経歴を見ると、まさにいまウクライナ情勢について、もっとも正確な分析を提供できる人物だ。
フランスには安全保障と情報活動の分野を専門にした「フランスインテリジェンス研究センター(Cf2R)」という有名なシンクタンクがあるが、そこの研究誌の3月号に「ウクライナの軍事状況」という論文を掲載した。いわばインサイダーによるもっとも信頼できる分析だと思われる。
この記事からは、ウクライナの驚くべき実態が明らかになる。
そもそもロシアがなぜ、今年の2月24日にウクライナの軍事侵攻に踏み切ったのか、日本ではまったく知られていない理由が明かされる。
これが侵攻前の経緯であるが、ジャック・ポーはそもそもなぜロシアが昨年の3月に軍を配備したのか、説明している。
実は2021年3月24日、ゼレンスキー大統領はクリミア奪還の政令を発し、南方への軍備配備を開始したのだ。同時に、黒海とバルト海の間でNATOの演習が数回行われ、それに伴いロシア国境沿いの偵察飛行が大幅に増加した。
ロシアはその後、自軍の作戦遂行能力をテストし、情勢の進展に追随していることを示すために、いくつかの演習を実施した。
つまり、そもそもロシアによる軍事演習の実施は、ゼレンスキーのクリミア奪還攻撃に対する備えだったのだ。日本ではプーチンの領土拡大欲が理由だとされているが、そうではなかった。
その後、10月から11月にかけてロシアの軍事演習は終了し、事態は沈静化したかに見えた。しかしウクライナは、ドローンを使って親ロシア派のドンバス地域の燃料庫を攻撃した。
ゴンザロ・リラさんは逮捕されてスマホなど機材全て没収され今後発信しない条件付きで解放されたとの事です。
(加筆)4/30
ウクライナで監禁されていた3万5千人を解放