プーチンはにグローバリストのスパイではない。
【プーチンはどっちの側なのか?】
私はトーマス・レーパーを、ドンバスの状況を現場から報道しているジャーナリストとして知っていただけなのだけれど、実は彼はもともと金融関係に長くいた人で、経済のことは裏の裏まで知っていた。そして、お金の流れという観点から、プーチンのロシアの状況について解説していた。
ところで、20世紀の初めまで石油の取引を独占していたロックフェラー財団は、それから分裂して、石油市場の独占を失ったことになっているのだけれど、これは見かけだけのことにすぎなかったとトーマス・レーパーは言う。分裂によって34のコンツェルンができたのだけれど、そのすべてはやはりロックフェラー一族の所有だった。つまり、そうやって分割していくことで、実はすべてを独占しているという事実を巧妙に隠していたのだ。それで、あたかも自由競争が行われているように見せながら、その実はロックフェラーがすべてを独占して思うように動かしていたというわけなのだ。そうやって影でロックフェラーが所有している企業の中には、ごく小さな規模のものが無数にあり、こうした企業は公表されもしていない。だから、ロックフェラー一族が、実際にどれだけの資産を持っているのかをつかむことはほとんど不可能だという。
そして、そうした資産のすべてを、ブラックロックやヴァンガードのような資産運用会社が動かしているわけなのだ。つまり、世界を動かしているかに見えているブラックロックやヴァンガードは、実はロックフェラー一族に動かされているということになる。西側のメディアも政府も保健機関、医療機関も、ブラックロックやヴァンガードから流れてくるお金で操られているわけなので、つまりはロックフェラー一族がすべてを影で操っているということになる。シュワブの世界経済フォーラムやグレートリセットも、その傘下にある。だけど、プーチンもゲルマン・グレフも、その傘下にある資産家を後ろ盾にしてはいない。だから、たとえ世界経済フォーラムのメンバーになっていても、その影響下にあるわけではないのだという。
もう一つの根拠は、プーチンが世界経済フォーラムのヤンググローバルリーダーの一人だということだった。しかしこれについては、まったくの事実無根だったことがわかった。ヤンググローバルリーダーは、すべて世界経済フォーラムのリストに出ているけれど、プーチンの名前はどこにも出ていない。それなのにヤンググローバルリーダーだという話が拡散されたのは、シュワブがあるスピーチで、「メルケルやブレア、プーチンのような若いグローバルリーダーたちが」と言ったことから来ていたらしい。プーチンもロシア首相として出てきた当初は40代の若さだったわけなので、若いリーダーだった。そこから、プーチンもヤンググローバルリーダーの一人だという風に誤解されたということだったらしい。
ところが、ロシアが進めているディジタル通貨はそういったものではないと、トーマス・レーパーはいう。まず第一に金や石油などで裏付けがしてあるので、無制限に増やすことができないし、第二にはディジタル通貨の一方では、現金取引は無制限に行えるようになっている。ロシアでは現金取引が盛んに行われていて、不動産を買うのにもトランクいっぱいの現金で支払う人がいるのだそうだ。いずれにしても、グレートリセットのような、ディジタルIDとの紐付けで完全管理が可能なシステムとは違う。
ところで、決定的な違いは、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)についてだった。PPPは、政府がNGOと提携して、行政サービスを行うというシステムなのだけれど、まさにこのシステムによって私企業が税金をいいように引き出して、政治を操るという状況が生まれている。ゲイツ財団などがそのいい例なのだけれど、資産家が慈善事業ということで、あるプロジェクトを企画して資金を出すと、政府がそれに提携する形で、何倍もの補助金を税金から出す。するとその慈善家は、自分が所有する企業に製品を注文して、それをその慈善事業に使うという仕組みなのだ。それで、慈善事業と言いながら、実のところは何倍もの儲けになっている。そのお金で政治家を買収したり脅したり、それどころか選挙不正で工作員を政治家に据えたりといったことまでする。そうやって支配力を増した慈善家たちが、メディアも政府もすべて思うように動かせるような状況を作ってきたのが、2年半前に始まった奇妙なパンデミックの背景にあったわけだ。
トーマス・レーパーの記事(ドイツ語)
8月16日のモスクワ安全保障会議のスピーチ(英語翻訳全文)