tarobee8のブログ(戯言)

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封印を解こう

ロシアのラブロフ外相

【多極性の封印が解ける】
前回の投稿「封印は解けた」で、二年半前から始まったパンデミックウクライナでの戦争も、封印による支配だということを書いた。どちらも、最初から徹底した情報統制を行なっていて、あるものを悪者にして人工的にタブーを作り出しているのだけれど、それならば一体何を封印していたのだろうか?
 封印とはつまり、私たち人間がもともと持っている力に繋がれないようにしてしまうことだ。そのために、それが悪い力だとか、そんなものは現実に存在しないとか、あるいは危険なことだとかいうように思わせて、意識に入らないようにしてしまう。それが作られたタブーであり、封印だ。
何を封印しているかを知るには、何が悪者にされているかを見ればいい。パンデミックでは、ウィルスが危険だとされて悪者にされていた。そして、接触を避けなければ危険だと言って、マスク着用を義務づけたり、人と人とが接触しないように隔離したり、距離を取らせたりしていた。
現代医学では、ウィルスや細菌が病気の原因だとされているのだけれど、ウィルスや微生物環境は、実は免疫システムの要であったりする。感染症というものは、ある一つの細菌やウィルスが異常繁殖することによって起こるのだけれど、身体の中には通常、多様なウィルスや微生物が共生していて、そのバランスが取れている場合、一種類の微生物だけが異常繁殖するというようなことは起こらない。
だから、実は人間は多様な微生物、多様なウィルスにつねづね触れていることで、免疫システムを鍛え、感染症を防ぐことができるのだと言っている免疫学者は多い。ところがパンデミックで情報統制が始まってからというもの、こうしたことを主張する学者たちがことごとく弾圧され、危険人物扱いされる事態になっている。
実際、皮膚や粘膜を除菌したり、抗生物質や抗ウィルス剤を使って、バクテリアやウィルスを殺したりすると、それまでできていた微生物多様性のバランスが崩れてしまい、一週間とか二週間とかの間、感染が起こりやすい状態になるのは、よく知られているところだ。
ところで、私たち人間は集団でもこうした微生物多様性のバランスというものを作り上げているらしく、それが集団免疫と言われているものらしい。新しい病原菌が入ってきたときには、身体の弱い人たちは病気になるけれど、症状が出た結果、新しい微生物環境が作り出され、そうした菌が入ってきても、異常繁殖することなく共生できる状態になる。こうした環境が全体の何割かの人にできると、他の人もその環境を共有することになるので、感染症から守られるというのだ。
昔は、この状態を作り出すために、子供たちに感染させたりもしたのだそうだ。子供たちは、非常に強い免疫システムを持っているので、新しい病原菌が入ってきても、ほとんど症状が出ることもない。そうやって子供の身体の中で新しい微生物環境ができあがると、大人たちは子供たちと接触することで、その微生物環境をもらうことができる。そうやって、感染症を防ぐということは、昔はわりとよく行われていたそうだ。
ところが、このパンデミックでは、それとはまったく逆のことが行われている。子供たちはほとんど症状が出ることもないのに、ウィルスを運んでくるかもしれないというので、接触しないようにされてしまったのだ。
そのことからして、封印されたのは、つまりこの微生物多様性による免疫システムなのだと思う。そして、私たち人間が互いに接触することで微生物を交換し合い、そうやって集団として大きな免疫システムを共有しているという事実なのだ。
ウクライナの戦争では、悪者にされたのはロシアだ。ロシアからは情報も止められてしまい、ロシア側からの情報はすべてフェイクでプロパガンダだみたいに言われていて、それを信じている人たちは、ロシアから何を聞いても、意識に入らないようにされてしまっている。
しかし、ロシアの何を封じ込める必要があったのだろう? もちろん、対ロシアの経済制裁ウクライナへの軍事援助を正当化するには、ロシア側の情報が表に出ないようにする必要がある。ロシアがウクライナ軍を攻撃し始めたのは、ウクライナを占領したくなったからではなくて、ウクライナ政府が東部地域で8年前から民族虐殺を行っていたからなのだから。しかし、そもそもウクライナがロシアを挑発させられるようなことになったのも、何とかしてロシアを悪者にしようという企みがあったからなのだ。そうまでしても、ロシアを封じ込める必要があった。それは何故だったのだろう?
先日、モスクワ郊外で爆弾テロがあり、ロシアの政治家アレクサンダー・ドゥギンの娘のダリヤさんが死亡するという事件があった。ウクライナ工作員が車に爆弾をしかけたということだったのだけれど、狙われていたのは、父親のアレクサンダー・ドゥギンの方だったらしい。その日、ダリヤさんはあるイベントに出かけていて、父親が乗っていくはずだった車に彼女が乗ることになった。そこでテロに遭ってしまったのだ。
アレクサンダー・ドゥギンは、西側メディアには、ファシストだとかプーチンに入れ知恵をしているとか、さんざんに言われているというのだけれど、ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーによれば、彼はロシアで政治の要人といった人物ではないという。現に、家族は普通の車に乗って、自分で運転していたくらいで、警護がついていたわけでもなければ、運転手がいたわけでもない。ただアレクサンダー・ドゥギンは、哲学者としても知られており、とりわけ民族文化の多様性が大事だと主張しているということだった。つまり、それぞれの民族がそれぞれの伝統文化を大事にするような世の中がいいということだ。
一見何ということもない考え方なのだけれど、まさにその思想ゆえに、命を狙われたのではないかと、トーマス・レーパーは言っていた。この暗殺の背後には、ジョージ・ソロス世界経済フォーラムのクラウス・シュワブやがいるらしいのだけれど、彼らが目指しているのは、グレートリセットという一極支配の世界であり、多様性とは真逆のものだからだというのだ。
それを聞いたとき、何かピーンと来るものがあった。多様性とか多極化という言葉は、ロシアでは何か別の重みを持っているらしい。2007年のミュンヘン安全保障会議でのプーチンのスピーチでも、一極支配を批判していた。ロシアのラブロフ外相は、4月ごろに「一極支配は過去のものとなり、多極化の世界が生まれた」と言っていた。そうしたことは、ロシアがまさに一極支配と戦い続けていて、多極化の世界を作り出そうとしていたことを示しているように思える。
この春、ウクライナでの戦争の一方で、ロシアは通貨を金兌換制にした上で、対ロシア経済制裁に応えて、燃料の取引をルーブルに変えたりしていた。中国やインド、アラブ諸国との経済ネットワークを作り上げ、米ドルの一極支配を事実上突き崩してしまった形だった。ラブロフ外相の4月ごろのスピーチは、そのことを言っていたのだ。
実際、世界は金の裏付けのない米ドルで一極支配されていた状態だった。その結果、経済がグローバル化し、巨大企業に支配された形で、それぞれの国の文化の多様性は失われていった。どこの国でも、同じ大量生産品が消費されているといった状況で、伝統工芸も経営できなくなり、伝統文化も地場産業も消滅していった。そうやって、人々はますますグローバル経済に依存することになり、一極支配はますます進んで行ったのだ。それが、もう突き崩されて、多極化の世界が始まったとラブロフ外相は言っていたのだ。
ロシアと多様性という概念は、一見一致しないように思える。西側メディアは、ロシアは全体主義で自由がなくて、みたいなイメージを植えつけているからだ。どこにいっても同じつまらない品物しかなくて、人々は貧しくて、国家共産主義プロパガンダに洗脳されていて、みたいなソ連時代のイメージを今だに強く持っている。
ところが、このところロシアから多様性とか多極化とかいう言葉をよく聞くようになり、ロシアの概念が変わってきた。オリバー・ストーンのインタビューで、プーチンはロシアでは人はそれぞれ自由に生きられるんだと言っていた。ロシアでは、たとえば誰かがゲイだとしても、それで相手を差別したりはしないし、そもそも人がそれぞれプライベートな領域で何をしてようが、そんなことは気にしないのだと言うのだ。これと同じようなことは、トーマス・レーパーも言っていた。たとえばロシア人は、彼がドイツ人だからといって、ナチだとかいう偏見を持ったりはしない。国がやったこととその国民は違うんだし、どうしてそんなことを気にするのかと言うのだそうだ。
ロシアは、何百という民族が共生している多民族国家で、宗教もものすごくたくさんあるというのに、民族差別が問題になっているという話がろくにない。同じ街にイスラム教ととユダヤ教徒キリスト教徒がいて、それぞれに宗教行事を行っていても、何の問題もないらしい。
プーチンは、オリバー・ストーンのインタビューの中で、経済を安定させることが大事で、経済さえ安定していれば、人々は互いに争ったりはしないものなのだと言っていた。私たちは、民族やら階級やら性別やら、思想信条の違いなどで、人は互いに争い合うものだと思い込んでいるようなところがあるのだけれど、あるいはそれも、何かを悪者にして封印支配しようとする意図が働いていたからそうなっていただけのことだったのかもしれない。もしそんな風な悪意で駆り立てられず、それなりに経済が安定して飢えることもなかったら、私たち人間は自然に平和共存しようとする生き物なのかもしれない。ロシアが現実に、ものすごい多民族国家でありながら、民族間の衝突が起きていないということは、そのことを世界に示しているように思える。だからこそ、一極支配を目指す人々は、ロシアを封じ込めておかなければと思うのかもしれない。
生物学でも、産業革命のイギリスでは、生存競争による淘汰とか進化論といった考え方で研究が行われていた一方で、ロシアでは共生関係についての研究が進んでいた。生物の営みを微生物レベル、遺伝子レベルで見ていくと、一見生き物は互いに争い合って生きているように見えても、実は共生関係で生きていることがわかってくる。植物は地中微生物で互いに交流し合って、警告し合ったり、養分を分け合ったりさえしているのだそうだ。私たち人間の身体の中にも、実はたくさんの微生物が共生していて、微生物の助けなしには消化吸収さえできないくらいだったりする。
生き物の営みが実のところ共生関係で成り立っていることがわかると、たがいに恐れる必要もなくなるわけで、そうなると争う必要もなく、必然的にお金とか医療とか武器とかそういったものに依存する必要もなくなってくる。ところで、グレートリセットが目指す一極支配は、まさにその逆のものを作り出そうとしているわけだ。つまり、誰もがあらゆるものを恐れて、孤立したあげく、国家サービスに依存している状態をだ。
こう見ていくと、パンデミックウクライナの戦争も、同じことを巡って起きているようだ。つまり、多様性こそがバランスをもたらすという事実を封印して、世界中の人々を一極支配に閉じ込めてしまおうというわけなのだ。しかしその一方で、この二つのできごとが起きたからこそ、この支配の壁を破るために、私たちは多様性の持つ本当の力に意識を向けることになっている。そして、この封印をついに解こうとしているということなのだと思う。
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画像は、ラブロフ外相の4月ごろのスピーチ