tarobee8のブログ(戯言)

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富国弱兵

今日はお彼岸の中日です。

少し古い本ですが、

 

西鋭夫著「富国弱兵」より

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>From : 西鋭夫

国を愛する心

家に強盗が入り込んできたら、政治的イデオロギーに関係なく本能的に家を防護するだろう。

愛国心というものは、そのように純粋な心なのだ。

愛国心」という言葉すら、日本語から消えつつあるような感じを受ける。

真の「民主主義」は「愛国心」と結びついた時、初めて強くなるのだ。

日本の小・中・高等学校では「国を愛する心」が、あたかも過去の「軍国主義」と同じと見なされ、全く教えられていないのだろう。

それでは過去の過ちの枷にはめられ、その虜になり、未来に向かって適切な行動が取れないという大きな悲劇を生む。

湾岸戦争がこの悲劇をすでに浮き彫りにした。

やられっぱなしのニッポン

過去の悲惨な軍国主義のため、現在の日本は絶対平和主義に固執し、日本列島の周りの海がいかなる変化を示しても、
それに反応することもせず、できず、おらが春を決め込んでいる。

そして「軍事」については、何事につけても、アメリカの言うこと、することに反対の意を示す。

それはあたかも、アメリカに反対すれば世界が平和になると錯覚している日本のインテリの幼稚さか、または、甘やかされて育った日本の恥知らずのわがままなのだ。

日本人は、アメリカが武力と経済力にものを言わせ、日本に猛烈かつ不当な「外圧」をかけ、好き勝手な要求をしていると思うだろう。

そのとおりである。アメリカは世界一の大国として当然のことをしているだけだ。
そんなアメリカとわかっていながら、戦後50年、やられっぱなしの日本が情けない、と私は思う。


日本占領の呪縛

日本はアジアでわが物顔に振る舞っているが、いざ、対アメリカとなると恥も外聞もなく、独立国の誇りとか、尊厳とかを大切にせず、
打ちひしがれた人間のように、「強いアメリカ」のにらみの下でオロオロしている。

日本人の精神構造の中に、強いものにはへつらい弱い者には威張りちらす、いじけた性格が、黒い影のように、不治の病気を誘発するバイキンのように潜んでいるのだろう。

このへつらいの原因は、アメリカの日本占領である。


敗戦国日本の屈辱

アメリカは武力で日本を壊滅状態にまで打ち破り、力で日本をねじ伏せた。
日本は何をされても文句も言えず、言う気力も残っていなかった。
アメリカによる敗戦国日本の占領は、日本の近代化および国際社会への進出を促進した明治維新よりも大改革であった。

その占領について、日本の小・中・高・大学では、あたかも臭いものにフタをするかのように全く何も教えない。

日本を大変身させた歴史上の大事件について、将来の日本を背負っていく世代をいつまで無知のままにしておくのか。

明治維新については詳しく教育する文部省だが、アメリカの占領政策、すなわち、アメリカによる日本帝国解体と「民主主義日本」については、

勝者アメリカに強制された改革なので、経済大国日本が今さら過去の「恥部」をさらけ出すことはないとでも思っているのか。


7年間の占領

戦後50年間、盲目的にアメリカに追随している日本の「根性なし」の原因は、アメリカの日本占領政策が、世界歴史上まれに見る輝かしい大成功であったゆえである。

占領はアメリカにとって大成功だった。アメリカの成功は日本の屈辱となった。

アメリカによる敗戦日本の占領は、広島・長崎に原子爆弾が落とされ、日本帝国が無条件降伏した1945年(昭和20年)から1952年(昭和27年)までの7年間であった。


終わりなき支配

最近の「ジャパン・バッシング」に象徴されるように、アメリカの日本支配はいまだに終結していない。

それどころか、昭和から平成へと時代は変わっていったが、日本は今でさえ、アメリカからの外圧で自国の外交政策を作り、
1兆3000億円ものODAを海外にばらまき、さらに土下座し、わけのわからない理由で謝罪セリフを吐き、なんとか国際社会の中で、
アジア諸国の中で日本の存在を認めてもらいたいと涙ぐましい努力をしている。

日本の何を評価してもらいたいのか。

「カネ」のほかに、戦後日本は世界に貢献するものを持っているのか。日本は持っていないと思っているのだろう。

その自信のなさ、その自己懐疑が表面にあからさまに出ているので、弱みにつけ込まれるのだ。


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少し古いですが、「富国弱兵」より
スタンフォード大学フーヴァー研究所教授 西 鋭夫

今は「貧国弱兵」に更に成り下がっていますね。